感情とうまく付き合うために

仕事をする上で特にストレスを抱えているわけではないのですが
こんな本を見つけ、気になったので読んでみました。

  
  感情の問題地図 ~「で、どう整える?」ストレスだらけ、モヤモヤばかりの仕事の心理
著 関屋裕希
出版社: 技術評論社
画像は技術評論社 Webサイトより引用

ストレス社会と言われる現代において、仕事をしていてストレスを感じる人の割合は約6割だそうです。
この割合はここ20年ほど横ばい状態だそうで、メンタルヘルスの対策に取り組む企業は年々増えているにもかかわらず、ストレスを感じる人の割合はいっこうに減っていないとのこと。
「上司や同僚、お客さんにとにかくイライラしてしまう。そして、そんな自分が嫌! 」
「世の中の変化についていけてない感じがして、不安」
「期限に追われてばかりで、ちっとも気持ちが休まらない」
「自分の時間がとれなくて、いつも気持ちに余裕がない」
「まわりの目や評価が気になって、自分らしくふるまえない」
「一生懸命やっているのに、空回りしているみたい」
などなど・・・こういったモヤモヤ、一度は感じたことがあるのではないでしょうか?

そんなストレスフルな中で働き続けていくには、自分で自分を守る工夫が必要なのだそうです。
そこまで読んで私は、「ストレスのはけ口を見つけたり、感情を抑え込むといった工夫をするのかな?」と思いました。
ところがこちらの本に書かれているのは、そうではありませんでした。

どうやって自分自身を守る?

こちらの本では、仕事をしていてよく感じる「怒り」「悲しみ」「落ち込み」「不安」の4つの感情について
自分自身を守る=感情を「味方につける」方法について、詳しく書かれています。
たとえば、怒りの感情が起こった時・・・
やってはいけないことが2つあります。
攻撃行動につなげること
怒りの感情に任せて、衝動的に攻撃的なことを言ってしまう・・・その時はスッキリするかもしれません。
ですが、人間関係にヒビが入ったり、まわりからの信頼や評判を落とすことにもなりかねません。
我慢すること
我慢は健康にも良くないそうで、我慢することで別のストレスも引き起こしそうですね。
「感情的にならない」「感情をなかったことにする」のではなく、感情を「味方につける」ことでストレスから自分を守るのだそうです。

怒りは「大事なものが傷つけられている」というサイン

人は大事なものが傷つけられた時に怒りの感情が起こります。
たとえば、
上司が曖昧な指示を出した挙句、企画書に後から細かくダメ出しをしてきた
⇒「自分が取り組んだ仕事や、それにかかった時間」を傷つけれられた
といった具合です。
怒りの機能は「自分の大切なものを守る」「境界線を引いて、自分の領域を守る」ことにあり、そのことを怒りの感情は教えてくれているのだそうです。

「怒り」の感情を味方につける

「怒り」の感情を味方につける第一歩としては、怒りを感じることと、それをどう外に表現するかは分けて捉えること。
怒りを感じずに生きていく・・・そんな人がいたらすごいなと思うのですが、やはりなかなか難しいと思います。怒りの感情を排除することは難しいので、その感情を認めた上で、そこをどう上手く表現するかがポイントとなりそうです。
また、怒りやすさには環境も関係していることを理解すること。
疲れていたり、余裕がないとき、不快な環境にいるとき等は必要以上にイライラしてしまいますよね。
その原因を取り除いていくことも効果がありそうです。

怒りをどう表現するか

怒りをそのまま表現するのではなく、自分の大切なものを守るために主張する。
関係性を壊すのではなく「つくる」ように怒りを表現する。
そんな風に表現できたら、人間関係も壊すことなく、怒りの感情を減らすことができそうです。
そのようなとき、DESC法という技法を使用すると適切な自己主張ができるそうです。
DESC法では、次の4ステップで考えます。
Describe:客観的に状況を描写する
客観的な状況や事実のみを伝えて相手と共有する
Explain :自分の主観的な気持ちや考えを説明する
「私は」から始まるIメッセージで伝える
Suggest :相手に望む行動や解決策を提案する
相手に望むことを命令や強制ではなく提案という形で示す
Choose :相手の肯定的、否定的な反応を予測し、代替の選択肢を示す
相手が提案を受け入れた場合、受け入れなかった場合の自分の行動を示し、選択してもらう
最初に挙げた細かくダメ出しをしてくる上司の例で、この4ステップを考えてみます。
【D:描写】企画書に○○の件が必要だということがわかりづらかったです。
【E:説明】私は△△だと考えていました。
【S:提案】次回からは、指示内容を確認するお時間を作っていただけませんか?
【C:選択】もしくは、6割ほどできたところで一度確認していただくなど、別の方法も検討してもらえると有難いです。
この伝え方だと、上司との人間関係を壊すこともなく、自分の主張もでき、怒りの感情も減りそうです。
お互いの考えを理解することにも繋がりそうですね。

さいごに

今回はこちらの本の「怒り」の部分のみ取り上げてみました。
このような形で、「怒り」以外の「悲しみ」「落ち込み」「不安」の感情についてもこの本では詳しく説明されています。
「感情をなかったことにする」のが最善だと思っていた私にとっては、「味方につける」という捉え方を新鮮に感じましたし、そんな場面に直面したときにはDESC法を実践してみようと思いました。
また、感情にまつわる「モヤモヤ」を地図にしたもの(感情の問題地図)が載っており、そのときの自分と近いモヤモヤをたどっていくと、どの感情について知ればいいかがわかるようになっているのも面白いなぁと思いました。
もし良かったら皆さんも一度読んでみてください。

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