代表取締役

田崎 泰如

YASUYUKI TASAKI

お互いが切磋琢磨していける「場」を作ることが社長の役割

CHAPTER 01

議論によって変化が生まれる場を作る喜び

――起業のきっかけは?

正確に言うと、事業法人を引き継いだだけで、私がゼロから起業したわけではないんです。mmjという組織は私が京都大学に入学したときから存在していました。

僕は、先輩方が大学院に進んだり、就職していなくなってしまうときにこの会社と出会ったのですが、「もう解散しちゃおうか」と、もったいないことが議論されているところでした。そこで「じゃあ僕にやらせてください!」と言って引き継いだのがはじまりです。創業社長のサポートを得ながら、改めて仲間集めからスタートしました。

――昔から社長になろうと考えていた?

独立を決めていたわけではありませんが、就職することは、まったく考えていませんでした。ただひとつ、「このへんがルーツかな」と思うことがあります。それは高校生のときの図書委員会。ふだんは図書室でしゃべっているだけの気楽な委員なんですが、年に1度、他校の生徒も交えての討論会があったんです。テーマとなる本を1冊決めて、その内容について意見を出し合うイベントで、まわりの話を聞きながら、「自分の意見を持つ」ということを身体で学びました。この体験は本当に衝撃的でしたね。それから「年1回じゃつまらない。毎月やろう。」と呼びかけ、本当に毎月開催することに。

頻繁に開催することで、回を重ねるごとに参加者が何かの期待をもって会に参加するようになり、議論もどんどん積極的になり、会そのものが生き生きとしてきました。議論をするわけですから、それぞれの考えをもった個人が引き立って見えてくる。その変化が本当に面白かったです。そこから、そういう場を作ることに喜びを感じるようになりました。

CHAPTER 02

事実は解釈する当事者の価値観や関心によって変化する

――どんな子供だった?

まあ、ふつうだと思います。人並みに遊んで、人並みに勉強して。子供のころ、教師である父親から貰った教えに「教師の言うことをそのまま鵜呑みにしないこと」という言葉があります。例えば、先生が生徒に授業の中で全てのことを伝えることは出来ません。優先順位や生徒に合った内容を選んで限られた時間内で大切なこと(大切だと判断したこと)を教えるわけです。必要に応じて、周辺については必ずしも正確でない説明をすることだってあります。

また、事実は解釈する当事者の価値観や関心によって変化します。そんな人と人のコミュニケーションの前提条件を踏まえるようにと教えて貰った記憶があります。僕のひとつの原点です。システムを開発していく中で、聞きかじりの情報ってほとんど役に立ちません。まずは、多くの事実や事象をできる限り原典に当たって自分ならではの視点で収集、分析して、ちゃんと咀嚼して、飲み込んで、消化しておかないと自分の力にはならないんですよね。もちろん、システムの世界の前提条件を学び、理解しておくことはいうまでもないですが。

大事な場面では相談には乗るけれども、最初から手取り足取り指導したりはしない。その代わり、情報の調べ方や辞書の引き方といった「道具」の使い方はしっかり教える。会社を運営する上でも大切にしている沢山の前提条件を父からもらったのかもしれません。

――事業はうまくいった?

起業した1996年は、ようやくインターネットが普及しはじめた頃で、Webサイトをデザインまで含めて制作できる企業がまだ少なかったんです。なので、ありがたいことにわりと仕事の依頼は多かったですね。また、初期に私たちが独自に構築したショッピングサイト「ショプラス」は、登録が5000店を超え、当時のメディアでも大きく報じられました。ただ、「事業がうまくいく=お金もうけ」というのは違うといつも考えています。

もちろん会社なので利益がないと存続できないし、社員の生活を守っていくことも大切なんですが、それよりも、仲間たちと楽しく働くことのほうが大切。高校時代の図書委員会のような雰囲気や、事業を引き継いだときの部活っぽい雰囲気をmmjでも大切にしていきたいと思っています。会社を急激に大きくすると、どうしても歪みが生じます。そうすると、社員たちに無理や負担を強いることになる。それはよくない。しっかり地盤を固めながら、今後も成長させていきたいですね。

ちなみに、私の知り合いにも多くの起業家がいますが、彼らに共通するのは、「失敗した」と言わないこと。
成功するまでの過程の中では、当然悩む苦しい時期もあります。でもそれは「失敗」ではないんです。後から、「いやー、あの時はずいぶん悩んだね」と笑えるよう、その時々で目の前の課題ときちんと向き合うことが大事。
もちろん当社も、悩んだ時期がありますが、悩む中で新しいアイディアもたくさん出てきましたし、みんなで前向きに解決してこれたと思っています。

CHAPTER 03

自分から吸収する気持ちがあれば、いくらでも成長できる環境

――今後の目標は?

スタッフ個々のスキル・パフォーマンスとそこから生まれるシステム・サービスには自信がありますし、お客様やユーザーのみなさんからも好評をいただいていますが、一方で、業務フローにはまだまだ改善の余地があると思っています。いかにして、それぞれの力を最大限に発揮できる体制をつくるか。それが現在最も関心のあるテーマですね。

また、新規事業にもどんどん挑戦していきたい。それは経営拡大ではなく、新技術の威力を試す場としてです。
ただの下請け仕事では、当社のエンジニアは絶対満足しないので(笑)、お客様の要望を満たしつつ、技術者としての好奇心も満たす。そういう循環を起こしながら会社を存続させていきたいと考えています。強制する仕組みをつくるのではなく、自然に頑張りたくなる環境。そして、お互いに成長し合える状況をつくることが私の仕事です。

社員のライフワークバランスを整えることも重視しています。夜に打ち合わせにいらっしゃる取引先の方が、人の少ないオフィスを見て「甘いんじゃないの?」とおっしゃることもありますが、社員には、家族との時間や、自分の研究も大切にしてほしいから。

mmjという会社は切磋琢磨の「場」です。今はたまたま同じ場所にいて、同じ仕事に取り組んでいますが、いつか自分のやりたいことが見つかったなら、堂々とそれを目指してほしい。だから、そのときに困らないようちゃんと勉強しとこうね。ということです。

たとえウチがなくなったとしても、どこでも生きていけるような強者たちが揃っていますよ。チーフエンジニア T.O も リードプログラマ T.I も、日本で上位1%に入るエンジニア。最近では社員の教育などにも積極的に取り組んでくれており、これからもっと面白いことができそうです。

――どんな人がmmjに向いている?

勉強が好きな人。物事を論理的に考えることができる人。あと、まわりと一緒に成長したいという気持ちを持った人です。

当社には、たくさんの技術書や専門書が揃っていますし、その時の仕事に関係なくても、当社の事業に少しでも関係するものであれば、面白い、と思うものであれば、どんな書籍でも会社経費で購入します。でも、「すぐわかる○○!」とか「○○入門!」とか、いわゆる初心者向けの本はなるべく買いません。

表面的な理解でなく、その基礎にある理論や技術、さらにその基礎にある理論や技術、さらにその基礎に…ということに興味を持てる人は、間違いなく弊社向きです。そういう基礎への理解が、高いスキルにつながると考えています。…といっても、研究開発会社ではないので、適度な利益志向も必要です(笑)

当社にはスゴ腕のエンジニアが揃っているし、自分から吸収する気持ちがあれば、いくらでも成長できる環境。
常に好奇心を持って、貪欲に吸収していける人がいいと思います。

プライベートフォト

恐らく楽器と思ってますね。笑
父の研究室にて。僕の大切な原点です。

これまでの人生で影響を受けたもの

書籍

「情報の歴史」 – 編集工学研究所 , 松岡正剛

各分野で一流の人を集め、それを一つの切り口でまとめあげた、
編者の働きに驚嘆した。

「クロニック世界全史」 – 樺山紘一,木村靖二,窪添慶文,湯川武

情報の歴史と同様。もちろん読み物として楽しいが、
その編集能力に憧れを感じた。

「心の社会」 – 安西 祐一郎, Marvin Minsky

論理的思考で編み積み上げられた芸術品。
知の体系化の素晴らしさを感じた。

友人

例えばTYさん

小学校の頃からの友人です。
今まで、つかず離れずの不思議な関係が続いています。最初の頃は、パートナーとしてmmjの採用の手伝いをしてくれていました。


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